不動産の相続登記をする際、相続人の中に外国在住の方がいる場合は、通常の相続登記の場合より手間がかかったり、時間がかかったりします。
それは外国在住の方は印鑑証明書が取得できないため、外国の在外公館(日本国大使館や日本領事館)で署名証明(サイン証明)を取得してもらう必要があるためです。署名証明は、領事の面前で署名を行わなければならないので、代理申請や郵送申請ができなく、申請者本人が在外公館に行かなければならないので、外国在住の相続人がお忙しい場合、なかなか書類が揃わず、相続手続きに時間がかかるのです。
署名証明には2種類あります。
在外公館が発行する証明書と申請者が領事の面前で署名した私文書を綴じて割印をしたものと申請者の署名を単独で証明したもの(割印がないもの)です。
相続登記で必要なものは、在外公館が発行する署名証明と遺産分割協議書(遺産分割証明書)に割印をしたものです。法務局や担当者によっては申請者の署名を単独で証明した署名証明で大丈夫かもしれませんが、割印がされた署名証明の方が無難です。
以前外国在住の相続人の方に遺産分割協議書の署名と署名証明書の取得をお願いしたことがありましたが、私の説明不足で割印のない単独の署名証明を外国から送ってもらったことがあって、試しにこれで相続登記の申請をしたことがありますが、割印がある署名証明と差し替えるよう補正になったケースがあります。
外国在住の方に再び大使館に行って署名証明を取ってもらうのは、かなり手間を取らせてしまうことになります。
金融機関では、割印無しの署名証明で相続手続きできましたが、いずれにしても2度手間にならないように、事前に署名証明の提出先に単独の署名証明でいいか、割印付きの署名証明である必要があるのか確認した方がいいと思います。
司法書士 佐藤賢