満15歳以上であれば、遺言をする能力があるとされ、遺言書を作成することができます。
成年被後見人であっても、物事を理解する能力を一時的に回復したときには、2人以上の医師の立会いがあれば遺言をすることができます。
遺言は、2人以上の者が同一の証書で作成することはできません(民法975条)。これは夫婦の場合でも同様です。夫婦で遺言書を作成する際は、別々に作成しなければなりません。夫婦の場合は、どちらが先に亡くなるか予想できない場合が多いと思いますので、予備的遺言を作成すると、どちらが先に亡くなっても安心な遺言書にすることができます
予備的遺言についてはこちらをクリックください。
自筆証書遺言は、封筒に入れることや封印することは法律上の要件ではありません。
ただし、遺言書の改ざんのおそれを少なくするために、遺言書を封筒に入れて、遺言者が遺言書に押印した印鑑と同一の印鑑で封印することが望ましいです。
民法上、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立会をもってしなければならないとされています。実務上は立会の機会を与えるために、その通知をすれば足りるとされています。
そのため勝手に開封してはいけません。もっとも開封してしまったとしても、開封者の相続権が無くなったり、遺言が無効になるわけではありません。ただし裁判所から5万円以下の過料に処せられる可能性があるのでご注意ください。
自筆証書遺言の押印に用いる印鑑は、法律上実印である必要はありません。認印でも、拇印でもよいとされています(最高裁平成元年2月16日判例)。
ただし、後日の紛争防止にために実印を使用することが望ましいです。
自筆証書遺言が複数枚にわたる場合、仮に契印が無くても遺言書が全体として1通のものとして作成されたものと判断されれば有効といます。
ただし実務上は、後で紛争が生じないように契印はしておくべきです。
意思能力が無い状態で書いた遺言であれば無効となります。
ただし遺言者の意思能力の有無の判定は、遺言者の身体的状態だけを基にして一律に決まるものではありませんし、個々の遺言内容や遺言がなされた状況によっても左右し、非常に難しいです。
遺言の無効を争う方法としては、遺言無効確認の訴えを提起することが考えられます。
また相続人全員の合意があれば遺言の内容と異なる遺産分割をすることもできます。
借金については、相続が生じると法定相続分に従って各相続人に分割承継されることになりますので、特定の相続人に特定の債務全部を相続させる遺言をしても、債権者の承諾がない限り債権者に対抗できません。
遺言を所得する予定だった相続人が先に死亡した場合、原則として遺言は失効します。そのため遺産を相続させる相続人が先に死亡した場合にその相続人の子に遺産を取得させたい場合には、遺言書の中に「当該相続人が遺言者より先に死亡した場合は、その代襲相続人に当該遺産を代襲相続させる。」旨の記載をするべきです。
遺言者が字を書けなくても、公正証書遺言の方法で遺言書を作成することができます。