遺言はいつでも自由に撤回したり、変更したりすることができます。遺言が撤回されると、撤回された遺言の効力は発生しません。遺言の撤回・変更は、遺言の方式に従って行うのが原則です。ただし他の方法でも遺言の撤回ができる方法があります。
遺言を撤回・変更できるのは本人のみであり、代理人がすることはできません。
遺言者は、新しい遺言書を作成することにより、前の遺言を撤回・変更することができます。具体的には下記の方法が考えられます。
①前の遺言を撤回する旨の遺言書を作成する。
②前の遺言を撤回して新しい遺言書を作成する。
③前の遺言を撤回せずに前の遺言内容と抵触する新しい遺言を作成する。
③の場合、内容が不明確だったりすると争いが生じる可能性があえりますのでお勧めできません。①、②の方法で撤回・変更をするのがよいでしょう。
なお遺言の撤回・変更は、前の遺言書の方式にとらわれず自由にできます。例えば公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回したり、変更したりできます。
第〇条 遺言者は、平成〇年〇月〇日付で作成した自筆証書遺言において、下記の財産を長男佐藤A作に相続させる旨の遺言をしたが、本遺言書をもって撤回し、下記の財産は次男佐藤C作に相続させる。
・遺言者が遺言書作成後に、遺言と抵触する生前処分その他の法律行為をしたときには、その遺言は撤回したものとみなされます。
・遺言者が故意に遺言書を破棄したときには、破棄した部分について、遺言を撤回したものとみなされます。但し公正証書遺言の場合は、遺言者が手元にある正本を破棄しても原本が公証役場にあるため、撤回の効力は生じません。
・遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときは、破棄した部分について、遺言を撤回したものとみなされます。