一般社団法人が公益認定等委員等により公益性の認定を受け、公益社団法人になるためには、認定法第5条における以下の18の基準を全て満たさなければなりません。
1.公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。(公益目的事業比率が50%以上であること。)公益目的事業の23事業は認定法別表各号に掲げられています。例えば【学術及び科学技術の振興を目的とする事業】【文化及び芸術の振興を目的とする事業】があります。公益目的事業は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません。
2.公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。費用及び損失の額又は収益の額が1億円以上の法人については、監事を公認会計士又は税理士が務めること。当該額が1億円未満の法人については営利又は非営利法人の経理事務を5年以上従事した者等が監事を務めれば、適切に情報開示が行なわれるものとされます。(会計に関する公認会計士、税理士等の関与は必須ではありませんが、公益認定のための大きなプラス材料になります。)
3.その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他法令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
4.その事業を行なうに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄付その他特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のため寄附その他の特別の利益を与える行為を行なう場合は、この限りでない。
5.投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。
6.その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。この収支相償規定を満たすことが公益認定を受けるための財務面での最大の関門です。公益目的事業では、収入は費用を超えてはいけません。つまり公益目的事業の損益ベースで利益はゼロ又は赤字であることが求められます。仮に公益目的事業で利益がでる場合は、これを公益目的使用の資産取得等に充てるための資金に繰り入れたり、公益目的使用の資産取得に充てるか、ないし翌年度事業拡大を行うことによる同額損失となる計画をたてる必要があります。
7.公益目的事業以外の収益事業等を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
8.その事業活動を行うに当たり、公益目的事業比率が100分の50以上となると見込まれるものであること。
9.その事業活動を行うに当たり、遊休財産が法律に規定する制限を超えないと見込まれるものであること。
10.各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が、理事の総数の3分の1を超えないものであること。監事についても同様とする(監事が1名の場合は適用されません)。
11.他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること。監事についても同様とする。
12.会計監査人を置いているものであること。ただし収益の額と費用及び損失の額が1000億円に達しない場合、法人の貸借対照表の負債の部の合計額が50億円に達しない場合は、この限りではありません。
13.その理事、監事及び評議員に対する報酬等について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めていること。
14.一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであるであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使できる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれかに該当するものであること。
①社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
②社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の価額に応じて異なる取り扱いを行わないものであること。
ハ 理事会を置いているものであること
15.他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。
16.公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。
17.法律に定める公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額があるときは、これに相当するが額の財産を、当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1か月以内に類似の事業を目的とする他の公益社団法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款に定めているものであること。
イ 学校法人
ロ 社会福祉法人
ハ 更生保護法人
二 独立行政法人
ホ 国立大学法人又は大学共同利用機関法人
へ 地方独立行政法人
ト その他これらに準ずるものとして政令で定める法人
18.清算をする場合に残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは17.のイからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。